黒猫ミステリー賞 Kuroneko Mystery Award

お知らせ

黒猫ミステリー賞 シンボルマーク

2025/04/11

第3回「黒猫ミステリー賞」最終選考結果発表/第4回募集について

第3回「黒猫ミステリー賞」最終選考が終了しました。今回、「黒猫ミステリー賞」とともに「特別賞」を設けました。

『時計は二度凍らない』魚崎 依知子

◆作品概要

親友が殺されてから約4年。高校生になった志緒の周りで新たな事件が起きる。それはトラウマが要因で成長が止まってしまった彼女の心を大きく抉る事件。亡くなった親友の妹が拉致されたというのだ。
彼女の心の拠りどころ、「トーマス」と慕う小児科医の戸増は、過去の事件との共通点を示唆。志緒と友人たちは、警察への捜査協力の名のもと、徐々に事件の深部へと介入していく。
そんな中、慮外な人物の存在が浮かび上がり……。

◆総評・作品講評

第3回黒猫ミステリー賞へのご応募、ありがとうございました。
応募総数は240点。サスペンス、叙述トリック、探偵もの、警察もの……さまざまなジャンルの作品群が、10代から80代までの幅広い世代の方々から届きました。
審査員一同で慎重に議論を重ねた結果、第3回の受賞作として選出したのは、魚崎依知子さんの「時計は二度凍らない」です。

本作の主人公は、小学生の頃に起きた事件がきっかけで成長が止まってしまった高校生の女の子。彼女を長年支え続ける主治医の戸増先生(通称トーマス)や友人らとともに、新たに起こった事件と過去の事件を重ね合わせながら、少しずつ解決に導いていく様子が描かれています。
事件そのものは非常に凄惨で心痛を伴うものではありますが、さまざまないきさつを抱えもがく登場人物たちの心象風景の描き方や、極寒に耐え雪解けと共に芽吹く草花を思わせる結末が審査員の胸を打ち、受賞への運びとなりました。
受賞作は改稿の後、今秋の刊行を目指します。


『妖怪記』南原 武

◆作品概要

「わしは妖怪狩りを生業としておる」
明治後期、僕が居候した小松牛乳店には、狂四郎というゴクツブシが寄生していた。日夜遊び惚けているばかりで、仕事をしている気配がないが、「妖怪狩り」が生業だと言い張る。民衆の無知蒙昧に付け込み、人心を流言飛語で惑わす連中を、飯の種にしているとのこと。ならばと、僕は狂四郎という人物を見定めるため、同道することになった。
そして「天狗犬」や「化け猫」の正体を暴く狂四郎のひととなりを知るうちに、僕は彼を見直し、相棒となることを心に誓ったのだった。

◆作品講評

僕と狂四郎、居候先の牛乳店店主を軸に展開する「妖怪記」(あやかしかいき、と読む)は、なんといってもキャラクターが抜群に良い。選考にあたった者全員の記憶に残り、心惹かれた作品です。テンポもよくて明治末期の雰囲気も楽しめます。
ただ残念なことに、ミステリー的展開の物足りなさがどうしても気になりました。
様々に検討し、この度は「特別賞」を本作に授与することとなりました。急拵えの感が否めませんが、選考の段階からファンがついた作品です。賞の名前はともかく、この作品を単行本として残せることを心から嬉しく思います。受賞、誠におめでとうございます。
受賞作は改稿の後、今年後半の刊行を目指します。
南原武さんの今後の動向にもぜひご注目ください

各受賞者のコメントなど、詳細は今月下旬に追って発表いたします。


また、第4回「黒猫ミステリー賞」の開催が決定しました。
詳細は次回のお知らせをお待ちください。

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