黒猫ミステリー賞 Kuroneko Mystery Award

選考結果

黒猫ミステリー賞 シンボルマーク

2026/04/27

黒猫ミステリー賞 第4回受賞作 発表

受賞者


相羽 廻緒(あいう えお)
1984年、神奈川県生まれ。同県在住。趣味は飲み歩き。投稿歴18年以上のアマチュア・ベテラン勢。ようやく掴んだチャンスをどうにかモノにしたい。

受賞コメント

振り返ってみますと、小説を書き始めた当初から、親子の絆をテーマにすることが多かったように思います。本作も同様で、娘の視点から父親への心情を描き、さらにそこに、サリエリによるモーツァルト暗殺疑惑を、現代日本で巻き起こる殺人事件に絡める、という複雑なプロットを自身に課しました。
正直、私の拙い文章力と構成力では、訴えたいテーマを真に捉え切れたのかどうか、まったくもって自信がありませんでした。そのため、第4回黒猫ミステリー賞という、身に余る栄誉を頂戴したことに、望外の喜びを感じております。
改めまして、支えてくれた家族、友人、そして選考に携わっていただいたすべての皆様に感謝を申し上げると同時に、その恩に報いるためにも、出版に向けて全力を注ぎたいと思います。

受賞作概要

売れない中年作家・柴田三四郎は、音大生でインフルエンサーの姪っ子・絵梨花に連れられ、北海道の江別村(えべつむら)にある「モーツァルト・ハウス」という廃墟を訪れた。
そこは、天才ピアニストと呼ばれた柳川龍之介と、龍之介を殺害したのち自殺した居候のピアノ教師・古賀奏人の二人が住んでいたという曰く付きの家だった。
当時、地元紙でサリエリがモーツァルトの才能に嫉妬して毒殺したという内容の小説が連載され、
モーツァルトを龍之介、奏人をサリエリに見立てて、その家は「モーツァルト・ハウス」と呼ばれるようになったそうだ。
柴田はそれが、かつて謎の依頼主から頼まれて書いた自分の小説だったと知る。
間接的に事件に関わっていたことに罪悪感を覚えた柴田は、その事件の詳細を調査することに。
すると、驚くべき事実が明らかになり…。

総評および受賞作講評

第4回黒猫ミステリー賞へのご応募、ありがとうございました。
応募総数は第3回を大幅に上回る440作品。
警察もの、日常の謎もの、クローズドサークルもの、安楽椅子探偵ものなど、前回以上にさまざまなジャンル、作品が届きました。
最終選考に残った6作品は過去に類を見ないほどレベルが高く、選考員一同、大いに頭を悩ませました。
その中で第4回の受賞作として選出したのは、相羽廻緒さんの『モーツァルト・ハウス殺人事件』です。
本作は小説家の柴田、シンガーソングライターの香音、警視庁捜査一課の真央の三者の視点でそれぞれの物語が進行します。
20年前に解決したはずの殺人事件、過激な推し活ストーカー、顔が切り刻まれた首吊り死体の謎。
章ごとに視点人物が切り替わる複雑な展開の中、場所も年月も異なる3つの事件が1つの悲しい真相に集約されていく、その構成力の高さに驚かされました。
散りばめられたピースがカチッと組み合わさる爽快感と、リーダビリティの高さが受賞の決め手となりました。
一方で、警察組織に対する解像度の低さやモーツァルトとサリエリのエピソードの冗長さなど、物語への没入を阻害するような要素も見受けられました。

受賞作は改稿の後、今秋の刊行を目指します。